昆布は見た目が9割

書くことが好きな私。

去年ブログを始めてから、書くのが好きなことに気付きました(?????)

今年は力試しをしてみようと、エッセイコンテストに出してみました☆

結果は・・・全然だめ入賞ならずでした。

でも、せっかく書いたので、ブログに載せてみます

テーマは「おいしい記憶」です(?????)

鹿児島に離れて暮らす祖母。
83歳になるが、年に数回上京する。
自分の服や下着は最低限しか持ってきていないのに
いつも旅行鞄はぱんぱん。
鞄の中は
安納芋、里芋、人参、干し大根、椎茸、昆布、お芋さん（鹿児島県民は薩摩芋をこう呼ぶ）、・・・
たくさんの野菜でいっぱい。
これも食べさせてあげよう、あれも喜ぶかも、と
たくさん持ってきてくれるのだ。
東京で買える食材も多いが、
祖母が無人販売所で買ったり、
近所でもらってきた野菜たちは、
こぶりで、作り手を想像させる素朴さがある。
祖母が滞在中、毎日作ってくれるのが
これらの野菜を使った具沢山のお味噌汁。
汁がほとんど見えないくらい野菜がたくさん入っていて、
おかずみたいなお味噌汁。
昆布、椎茸で前の晩から出汁をとり、
お芋さん、里芋、お豆腐、人参・・・
冷蔵庫にある限りの野菜を次々と入れていく。
祖母は手の平をまな板にして豆腐を切るので
いつもはらはらしながら祖母の手元を見る。
隣にぴたっとくっついて祖母の台所仕事を見るのが私は大好きだ。
味噌は私が買い置きしている東京の味噌を使うこともあるが、
祖母が持ってきた鹿児島の麦味噌を使うことも多い。
この麦味噌はどこか甘く、塩分が控えめなのか優しい味がする。
火を消し、お椀によそう。
お椀はずっしりと重い。
まず汁を飲もうとお椀を傾けるが、
野菜がたくさん入っているので、なかなか汁が出てこない。
野菜たちがごろごろとお椀の中で転がり、
私の上唇にあたる。
行儀が悪いが、かきこむように次々と野菜を口の中に放り込む。
里芋が柔らかく煮えていて甘く、舌の上でまろやかにとける。
包丁が下手な私はいまだに里芋の皮を剥けず、里芋は普段食べられない食材だ。
そんな私のために祖母はいつも里芋を欠かさない。
私は祖母のお椀に入っている分までもらって食べる。
出汁をとった椎茸や昆布もそのまま入っているが、
出汁をとっても尚、豊かな味がする。
噛むとやわらかく、ぐにゃりと口の中でとろける。
汁を飲み終えるとお椀の底に麦のつぶつぶが残っているので、
それも箸でかきこんで食べる。
食卓にはお味噌汁以外のおかずもあるが、
私はお味噌汁をかきこみ、お味噌汁ばかりおかわりする。
子供みたいに、おかわり！とお椀を突き出すと、
こんなばあちゃんの料理を美味しいと言ってくれるなんて
と祖母は嬉しそうによそってくれる。
祖母が嬉しそうな顔をするから、
私は限界までお味噌汁を食べ続ける。
たくさん食べれば食べるほど喜んでくれる。
祖母にとって私は、
お嫁にいっても尚、小さな子供なのだ。
少しずつできないことが増え、自信をなくし気味の祖母。
貴方にしてあげられることは何もない、迷惑をかけるだけだ、と気弱なことを言うようになった。
そんな祖母が喜んでくれるなら、
私はこれからもお味噌汁をはちきれるまで食べ続けたい。
いつまでも甘ったれの孫娘でいさせてほしい。
ばあちゃん、いつまでもるり子のためにお味噌汁作ってよね。